vol. 318(2024年1月号)掲載
各界から長崎県同友会会員へ向けた熱きメッセージ
ポストコロナの外国需要と人材確保
長崎県の中小企業家への期待
明けましておめでとうございます。
100年に一度の転換期といわれる長崎は、新幹線の駅周辺に出島メッセ長崎や高級ホテル、スタジアムシティといった集客施設が相次ぎ、その消費効果から中小企業には外国関連需要も期待されます。
新型コロナウイルス感染症の終息が見え始めた昨年3月、長崎港にクルーズ船の来航が再開され、昨年12月までに97隻が入港し、3月までにはさらに40隻がアジアや欧米から大量のインバウンド客を長崎に呼び込みます。
ポストコロナの外国人観光客の受け入れは、2022年6月から段階的に始まり、アメリカとともに韓国・台湾・タイ・香港・シンガポールといった東南アジアの観光客が増加しています。このような外国関連需要に中小企業が応えるために、外国語とコミュニケーションができる人材が求められます。
中小企業における外国人雇用も進展しています。長崎労働基準局の「長崎県における『外国人雇用状況』」の集計」 (2022年10月末)によれば、人手不足を反映して前年比で2 0 . 2 % 増加の6,951人の外国人が県下の企業で働いています。2年ぶりに増加に転じて過去最高の数字です。内容的にも技能実習から専門的・技術の雇用者が増加し、規模別には30人未満の中小企業の雇用数が2,870人と最も多く、製造業を除くと、卸売・小売業、宿泊・飲食サービス業、医療・福祉の業種で増加が目立ちます。増えているのはベトナム人が最大の2,294人で、あとはネパール人とインドネシア人です。
外国人雇用は、人手不足の解消だけではなく、訪日外国人の言語に対応し、モチベーションの高い人材の確保に繋がります。斬新なアイディアを企業にもたらし、海外進出の足掛かりを与えてくれます。その場合、在留資格の管理や文化摩擦によるコミュニケーションギャップといった、デメリットも考えておく必要があります。
長崎外国語大学は「世界がキャンパス・キャンパスが世界」を標榜し、学生の30%が留学生です。英語を中心に、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語、日本語を学ぶコミュニケーション力の高い卒業生を送り出しています。コロナ3年の冬の時代をようやくくぐり抜けて、学生の留学派遣と受け入れが復活し、就職活動も活発になってきました。
長崎の中小企業家の皆様には、外国語と外国文化に強い外大生を採用いただき、地域創生の戦力としていただければと存じます。

長崎外国語大学 学長
姫野 順一
1947年大分県生まれ/九州大学大学院/博士(経済学)
ケンブリッジ大学クレア・ホール ライフメンバー
専門は経済学史・知性史・古写真を中心とする長崎学長崎大学教養部、環境科学部、附属図書館長、長崎外国語大学副学長を経て2020年から現職
TVブラタモリ、「長崎古写真ライブラリー」などに出演
著書に『J.A.ホブスン人間福祉の経済学』、『龍馬が見た長崎』など
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