vol-326
各界から長崎県同友会会員へ向けた熱きメッセージ
お菓子をお求めの際は専門店へお願いいたします。
長崎県中小企業家同友会の皆様には日頃より各団体においてお世話になっております。
まずは私の履歴からお話しさせていただきます。
私は高校卒業後に丁稚奉公のような形でこの業界に入りました。もちろん住み込みでした。初めての給料の時、師匠から「これは給料じゃない、こづかいだ」と言われました。朝早くから夜遅くまで働きました。賃金は安かったです。
私の基礎はそこにあり、今では感謝しています。5年と少し頑張ったあと、東京へ行き、29歳の時に長崎に戻りボンソアールを開業しました。当時は自信満々でオープンしましたが、予想とは全く逆で全然売れませんでした。初めは「長崎の人は自分の味が分からない、最先端の技術が分からないのか?」と思っていましたが、結婚もして子供も生まれてこのままではいけない、自分が変わらないといけないと気付き、どうしたら売れるのかと九州の繁盛店を見て回りいろいろと話を聞いて実践していくと次第に売り上げが上がり、8年後の移転を機に、お客様から知っていただくようになりました。その後も店舗も増え現在に至りました。
昨年、長崎県洋菓子協会の会長を拝命し、業界のために何か役に立てればと気持ちを新たにしております。
今般の業界はチェーン店の店舗拡大、コンビニなどのスイーツの充実など避けては通れない問題があります。これに対しては各専門店が独自に努力するしかありません。各店がレベルアップを計り、現状に満足することなく前進していくことが大事だと思います。協会としてはコンテストを開催し、パティシエとしての技術力の向上を目指してもらい、技術講習会などでいろいろな技術を習得していただき、各店で生かしてもらいたいと思っております。
また、昨今の材料費の値上がりは一番の問題であり、各パティスリーの死活問題となっております。
お菓子というのは、生活必需品とは言い難く、嗜好品の部類に入ると思います。当店においても客数・客単価ともに下がっています。そう簡単に値上げすることもできないのが現状です。また、カスハラ(カスタマーハラスメント)に悩まされる店も増えています。
クレーム対応は業務改善や商品開発につながることもあるのですが、過剰な要求や接客サービスへの不満など、業務に支障が出ることもよくあります。お客様からのクレームがあった時は朝礼で報告するのですが、謂れのないことも多々あります。行き過ぎたカスハラは社員の意欲の低下、または離職などにつながります。今後はこういった問題などにも協会として対応していきたいと思っております。
最後になりますが、貴同友会の益々のご発展をお祈りするとともに、同友会の皆様にはお菓子をお求めの際はどうか専門店をご利用していただけるようお願い申し上げます。

長崎県洋菓子協会
会長
草野 一夫
1963年7月5日生まれ
1981年 長崎商業高校卒業
1991年 ボンソアール オープン
2023年 長崎県洋菓子協会会長
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