vol. 312(2023年7月号)掲載
各界から長崎県同友会会員へ向けた熱きメッセージ
学校から就労先へ ~子供たちの限りない可能性を引き継ぐ~
長崎県中小企業家同友会の皆様には、日頃から生徒の現場実習や高等部卒業後の就労、職員及び保護者向け研修会の講演講師など、特別支援学校の教育活動に御理解・御協力を賜り、心から感謝申し上げます。
長崎県の特別支援学校における進路指導及び職業教育は、「特別支援学校就労支援推進事業(2011年~2013年度)」に全県あげて取り組み、その成果として特別支援学校高等部卒業後の企業への就職率が上昇しました。その後、さらに職業教育を推進し、児童生徒の学びが就労に直結するキャリア教育及び職業教育の充実、また、企業や関係機関等と連携した就労支援体制の強化を図ってきたところです。
その一つとして、本校では2018年4月にこれまでの普通科に加え、就業サービス科を設置し、軽度知的障害のある生徒に対して、より専門性の高い職業教育を中心とした教育を行い、卒業後の企業就労による社会参加や自立を目指しています。
就業サービス科には、清掃サービスコースと販売・事務サービスコースがあり、1年次には、デュアルシステム型現場実習で農業の意義や役割、農機具の扱いなどを学び、実際に栽培と管理について体験的に学習することと並行して、清掃サービスコースと販売・事務サービスコースを体験しています。そして、2年次からは、それぞれのコースに分かれ、より専門的な学習をして将来の職業生活に向けてキャリアを積んでいます。実際に私も4月に赴任した際に、販売・事務サービスコースに名刺の注文をしたところ、とてもきれいな仕上がりで、担当してくれた生徒の配達時の接客態度もよく、働く意義をしっかりと理解したうえで自分の役割を意識していると感じました。
生徒たちは、限りない可能性を秘めています。その原石を学校教育でしっかりと磨き、職業人としての基礎づくりをしますので、ぜひ会員の皆様の職場において引き続き磨き上げ、個々の可能性を引き出してそれぞれの色を輝かせてください。
また、就職率だけではなく、就労後の定着率を高めるために指導内容・方法、進路面談の在り方、職業観の形成、卒業後のアフターフォローなど、進路指導システムを見直し、就労先の皆様の期待に応えられる人材を育成していきたいと考えております。
これからも、中小企業家同友会の皆様の御理解と御協力、さらには特別支援学校に対する御助言をどうぞよろしくお願いします。

長崎県立虹の原特別支援学校 校長
影本 正樹
1967年3月 大阪府池田市に生まれる
1985年3月 長崎県立佐世保北高等学校卒業
1989年3月 日本体育大学体育学部健康学科卒業
1989年4月 株式会社レナウン入社
1994年4月 長崎県立希望が丘高等養護学校に新規採用
2020年4月 長崎県立鶴南特別支援学校校長
2023年4月 長崎県立虹の原特別支援学校校長(現職)
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