vol. 320(2024年3月号)

各界から長崎県同友会会員へ向けた熱きメッセージ

自分は何を
与えられるか

 「グループの発表役をお願いします」...「え?!わたし?」--それが長崎県中小企業家同友会のみなさまとの出会いでした。昨年秋の五島での第29回経営フォーラムに来賓でお邪魔した時のことです。せっかく五島までいくなら分科会も傍聴したいと参加。せっかくだからとグループディスカッションにも加わることになり、あれよあれよという間に冒頭のような展開に。
 長崎文化放送(NCC)というテレビ朝日系列の放送局の社長を昨夏から務めています。長崎にきて1年半。いくつかの団体に所属し様々な会合に顔を出していますが、質疑応答の時間があっても静かなことが多く、「長崎の方は控えめ?目立ちたくないのかな?」という印象をもっていましたが、長崎県中小企業家同友会の会合ではこれをアッサリ覆されました。
「せっかく時間を使うならproactive(積極的)であれ」をモットーのように生きてきたので、“無茶振り”と冗談を飛ばしながらも、参加してよかったなと思える一幕であると同時に会員のみなさんの熱気を感じられるひとときでした。
 反省をこめていえば、「傍聴しておこう」というのは、お客さんとして一方通行の情報をもらうだけの姿勢。そこをガツンと目を覚まさせられたとも言えます。
 さて、産業構造の変化とともにあらゆる業種で、このままではいられない構造変化が起きています。メディア業界で仕事をしてきた私ですが、新聞に続きテレビも大きな変化に直面しています。かつては家に帰ったらまずテレビをつける人が多かった時代から、スマートフォンが手放せない時代へ。いままでの延長線上には答えのない世界が広がっています。おそらく会員のみなさまも、それぞれの業種で同様の経験をされているのではと思います。
 そのときに重要になるのが多様性をもったプレーヤーの間の相互作用です。研修会やフォーラムで「おそわる」、「話を聞く」という「何かを得て帰る」ことは重要ですが、同時に「自分は何を与えられるか」は忘れがち。自分からも発信すること、口を開くことで周囲の人にも何かの種をあげられるかもしれない。そんなことを念頭において過ごすことが一方通行の受け身ではなく、何か新しいものを生み出す原動力になるのではないでしょうか。
 急速な人口減少などが取りざたされる昨今ですが、こぼれたミルクを嘆いても始まりません。エネルギーに満ちた会員のみなさんの相互作用で長崎の新しい答えを探しにいきましょう。
 私たちNCCはテレビやイベント、インターネットを通して 21市町の情報をきめ細かくお伝えしようと日々努力しています。週末の情報番組「トコトンHappy」などでは「海岸線の旅」、「ジモト旅」などの企画を通して各市町の特産品だけでなく産業、人、暮らしを紹介することで長崎の元気を盛り上げていきます。
 よそものの私も長崎に何を残せるかを模索していきます。 
 これからも、よろしくお願い申し上げます。

長崎文化放送(株) 代表取締役社長

大西 弘美

1960年   千葉県千葉市生まれ
1980年3月 千葉県立千葉高校 卒業
1984年3月 東京大学教養学部教養学科 卒業
1984年4月 (株)朝日新聞社 入社
2009年9月 朝日インタラクティブ(株)出向 代表取締役社長
2013年6月 マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボへ派遣
2015年9月 (株)朝日新聞社執行役員 デジタル・国際担当
2022年6月 長崎文化放送(株)常務取締役(デジタル戦略担当)
2023年6月 長崎文化放送(株)代表取締役社長(経営統括・技術担当)